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放蕩記 村山由佳 (後出し御免被る) [本]

本もぼちぼち読んでいるのですけれども
本の感想文というのは、ピーマン頭の自分にとって
映画のレビュー以上に難しいと思われ・・・
なかなか書こうという気が起こらないのです。

しかし、この御本に巡り会って・・・
内容の衝撃とともに、魅惑的な言葉の洪水に酔いしれまして
久々に、残しておこう! という気になりました。

村山由佳さんの作品は初見です。



帯に 「母と娘、衝撃の半自伝的小説」 とあります。

私は、蟠りを残したまま逝かれてしまった!? という苦い思いが未だにありまして
“母と娘” の話というのは、神経に障るような気がして敬遠しがちでした。

しかし、同じ顔がないように、母娘の関係もまたそれぞれ と思い
作者の心の痛みを、勝手に分かち合う ようなつもりで、読み始めたわけです。

第一章 棘

ここで、いきなり グイーっと掴まれた気がしました。
母上が、久々に会う娘 夏帆に向かって言うことは

「また太った?」

これは、私も経験済み!(苦笑)
かつての俳句の師の第一声が いつもこれでした。
無神経と言うより、逆撫ですることを愉しんでいるとしか思えない所行です。

しかし、言った本人は “何か悪いこと言った?”  程度の軽さなんですね。

これは母親ではなくて、他人様の例でしたけれども (汗)
このように、どこかに置き忘れてきた気持ちが掘り起こされるような気分と言うのか?
形は違えど、これと似たようなことが過去の自分にもあったな と思うことが多々ありました。

そう言うわけで、相身互い じゃございませぬが (笑)
最初の内から、主人公 はたまた作者に、近しい心持ちを抱き、一気にのめり込んでいきました。

主人公の母上は関西弁しか使わず、社交的で、華やか。
口が立つ上に、“躾” と称して 長女の夏帆を理詰めで雁字搦めにした。
いつになっても解けない呪縛。
兄や妹には効力を持たない其れは、夏帆が40目前の齢になってもまだ苦しめるのだった。

・・・というエピソードの合間に、主人公が成長と共に手に入れる事が出来た “悦び”
そして、歪んだ暗闇の部分も、語られるのですけれども・・・

構成の妙 というのでしょうか? 
抑制の利いた語り口というのでしょうか?

とにかく、その巧みな匙加減に唸ってしまいます。
常に冷静で、自身を俯瞰している感じ!?

そして、ときどき入る 「interval」 母 美紀子の独白
流れるような関西弁が Nice です。
「お様子」 「おつる」 「キワキワ」 など、彼女ならでは と思われる言葉に惹かれます。

母に対して、幼いときから理不尽と思ってきたことや、心底から憎し! と思ったこと 等々
主人公の心情に寄り添って読み進んできた者として・・・

よっしゃー! ここでガッツポーズ! p(^_^)q 
・・・という場面が何度かありました。(笑) 

そして、そして、長ーーーい物語のラスト1ページで・・・
なんと、わたくし ほろりと涙しました。
泣くような作品ではないと、ずっと思ってましたのにねぇ(笑)

夏帆と同じタイミングでしたよ。(^_-)-☆

フィクション有り とは思うのですが、あまりにも衝撃的な赤裸々な告白!?
自分も十代の頃に戻った気分で、ドキドキしながら♪ 魅惑の時間を楽しむことが出来ました。


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Labyrinth

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皆さん nice! を、どうもありがとうございました。
by Labyrinth (2012-06-26 23:29) 

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