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さえかえる・さえかへる(冴返る) [駄句 春]

冴返る猫の影なき駐車場       Labyrinth
(さえかえるねこのかげなきちゅうしゃじょう)


副季語はナシ


そろそろ暖かくなりかけたと思うと、また寒さが戻ってくるのをいう。
寒さがぶりかえすと、ゆるんだ心持が再びひきしまり、万象が冴返る感じをもつ。
そこに別の情趣があろう。        (合本俳句歳時記 新版 角川書店編)
 

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したもえ(下萌) [駄句 春]

下萌や嗅ぎて進まぬ目病み犬       Labyrinth
(したもえやかぎてすすまぬめやみいぬ)


副季語に  草萌  草青む  畔青む  土手青む  若返る草  駒返る草


下萌は草萌と同義に用いられているが、本来は季節的な意味を持った言葉である。
春気うごいて地底から草の芽が頭をもたげる。
ひえ粒を蒔いたように、芽がほつほつと黒土の上に出て、
やがて緑の絨毯のように地上を青一色に塗りつぶす。
はっきりと春の訪れを感じる。       (合本俳句歳時記 新版 角川書店編)

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はるのらい(春の雷) [駄句 春]

春雷や地震の瓦礫に響きをり       Labyrinth
(しゅんらいやないのがれきにひびきをり)


副季語に  春雷


雷は夏多いので、単に雷といえば夏の季題になる。春の雷は立春後に起こる雷。
夏のそれと違って激しくはなく、一つ二つで鳴りやむことが多い。
                   (合本俳句歳時記 新版 角川書店編)

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かんあけ(寒明) [駄句 春]

粥おじや多き夫なり寒明くる       Labyrinth
(かゆおじやおおきつまなりかんあくる)


副季語に  寒明ける  寒の明け


小寒・大寒と続いた三十日が終わると立春になる。
その寒の明けることで、だいたい二月の四、五日頃に当たるが、
寒が明けたと言っても、実際はまだ寒さが続く。
立春に対し季語の心持に寒の余韻がある。
             (合本俳句歳時記 新版 角川書店編)


令和6年2月4日(日) 本日は立春です。

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こねこ(仔猫) [駄句 春]

鄙の子の息止めて見る猫の産       Labyrinth
(ひなのこのいきとめてみるねこのさん)


副季語に  猫の子  猫の親  猫の産


猫は四季に子を産むが、早春交尾して仲春から晩春にかけて子を産むことが多い。
子を孕んだ物憂げな親猫、出生してまだ眼の開かぬ子猫、人に貰われた子猫、
捨てられた子猫、いずれも可憐で可愛い。 (合本俳句歳時記 新版 角川書店編)


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4月 卯月もお越し下さり、ありがとうございました。 <(_ _)>
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このめどき(木の芽時) [駄句 春]

木の芽どき標本めける湯の吾が身       Labyrinth
(このめどきひょうほんめけるゆのわがみ)


副季語に  芽立時


木すべてが目を出す春の季節をいう。
もえぎ色の芽があり、赤い芽があり、
濃緑の芽がある三月末か四月ごろをさすといえよう。
             (合本俳句歳時記 新版 角川書店編)

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しゆんじん・しゆんぢん(春塵) [駄句 春]

春塵の手触りの封筒届く       Labyrinth
(しゅんじんのてざわりのふうとうとどく)


副季語に  春の塵  春埃  霾る(つちふる)  霾風(ばいふう)  霾天(ばいてん)


春になると風の立つことが多くなる。
陸の暖かさが増し、海上の空気が陸へ吹き込むからで、東北風が春の季節風である。
雪も溶け、霜もなくなるので、とかく埃(ほこり)や塵(ちり)が立ちやすい。
                    (合本俳句歳時記 新版 角川書店編)

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にゆうがく・にふがく(入学) [駄句 春]

双生児三つ編み長く入学す       Labyrinth
(そうせいじみつあみながくにゅうがくす)


副季語に  一年生


必ずしも小学校児童のみではない。大学までの各種学校の入学はいずれも四月である。
しかし、親も子も強い喜びと、深い感激を覚えるのは、小学校の入学であろう。
嬉々として校門をくぐってゆく新入生の姿には明るい未来が約束されているような感じである。
                         (合本俳句歳時記 新版 角川書店編)

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さくら(桜) [駄句 春]

疫病の下火となるや夢見草       Labyrinth
(えきびょうのしたびとなるやゆめみぐさ)


副季語に  夢見草  仇名草  かざし草  吉野草  たむけ草
      曙草  若桜  老桜  朝桜  夕桜  夜桜


ばら科の落葉喬木で、桜という名の特定植物はない。
ヤマザクラ・ヒガンザクラ・ソメイヨシノ・サトザクラ
その他寒地や高山に自生するものもあり、それぞれ捨てがたい風趣がある。
日本を代表する国花で、自生種だけでも三〇種以上を数えられ、
栽培種を加えれば数百種に及ぶといわれる。
このうちソメイヨシノは明治初年から東京を中心として全国に広まった種類である。
満開時の美観はいうまでもないが三分、四分咲きの頃、また終わりの頃の姿もよい。
朝の澄んだとき、夕暮れの静かな光の中の桜はことにすぐれている。
色香,容姿の優雅さはいうまでもないが、花の盛りが極めて短く、
しかもぱっと一時に咲き、一夜の風に誘われて散る、散り際の潔さが、
万人から好かれるのである。       (合本俳句歳時記 新版 角川書店編)

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うぐいす・うぐひす(鶯) [駄句 春]

旋律のアレンジもある初音かな       Labyrinth
(せんりつのあれんじもあるはつねかな)


副季語に  春告鳥(はるつげどり)  匂い鳥  初音(はつね)  鶯の谷渡り  鶯笛

春告鳥の名があるように、鶯の声を聞けば春の訪れを思う。
初音と言えば、鶯の初音のことであるし、
「けきょけきょ」と続けて啼くのを鶯の谷渡りと言うように、声が珍重される。
「ほうほけきょ」と啼くのは雄であるが、その啼声から《経よみ鳥》などとも呼ばれた。
鶯笛で鶯の声を擬して楽しむのも日本人らしい趣味である。
羽色は暗緑褐色で、いわゆる鶯色とは違う。
初冬から仲春までは平野に棲息し、晩春から晩夏に及ぶ繁殖期には山麓地から高山地帯にかけ、
その灌木林・笹籔などに巣を営む。
時鳥がそのなかに卵を産み鶯に孵させることはよく知られている。
冬に啼く鶯を笹鳴き、夏の鶯を老鶯という。     (合本俳句歳時記 新版 角川書店編)

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