ノスタルジア(NOSTALGHIA / NOSTALGHIYA / NOSTALGIA)1983 [な行の映画]
タルコフスキーが21世紀に遺した至宝(2003年リバイバル時)
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ソ連を離れ“亡命者”となったタルコフスキーの初の異国での作品であり、
祖国を失ってさまよう彼の心情が如実に出た、哀しく重厚で、イマジネーションに溢れた映像詩。
主人公を彼と同じく国を追われた詩人とし、彼が不治の病に犯されながらイタリアで放浪を続け、
故郷への想いや死への畏れ、実存的苦悩に囚われるさまを、
独特の湿気にすべてがおぼろになるような映像でゆったりと綴っている。
(allcinema より)
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物悲しい様な女声の歌が流れる冒頭から、独特の雰囲気に引き込まれました。
ある時はモノクロームだったり、またダークトーンの画面だったり、綺麗なカラーだったり
・・・と、いつの間にか変わっているのですけれども、受ける印象は同じでした!? w
しかし、長回しも良いのですが、まじで長い! (・・*)ゞ
睡魔との戦いが苦手な方にはお勧めしかねる類の作品かも・・・。 (苦笑)
人間も寡黙なのですが?(笑)
物言わぬ馬や犬などが静かに佇むような構図は穏やかで癒し効果抜群でしたね。
また、有名な楽曲や、自然界の “物音” 等、とても効果的に使われていて・・・
臨場感は半端ない感じが致しましたね! ^^;
さて・・・
イタリアを旅して、とうとうトスカーナ地方へとやってきた小型車の男女。
降りるなり、懐かしそうに先を急ぐ女は通訳のエウジェニア。
やめた! と言いながらも、気が進まぬ素振りで後からゆっくりと行く男は、
ロシア人の詩人アンドレイ・ゴルチャコフ。
いつも靄が掛かった様な、霧が流れるような そんな幻想的な風景が、すこぶる美的です。
・・・やがて白い靄状のもの晴れると、意外と近くに大きな建物があり、吃驚! ^^;
旅の間、聖母の話しかしなかった というのに、結局教会で儀式を見学したのは私だけ・・・
・・・というようなことを、ホテルに着いた女が、皮肉めいた口調で言ったりします。
そんなところから始まるのですが
歯切れの良いイタリア語と、似たようで全然違うロシア語が交互に聞こえてきて・・・
私めは慣れるまで、ちょっと違和感をっ? ポリポリ (・・*)ゞ
アンドレイ・ゴルチャコフ(オレグ・ヤンコフスキー)
アンドレイは、サスノフスキーというロシア人作曲家の足跡を追って取材?に来ている・・・
ということでしたが・・・
時々、アンドレイ自身の心象風景らしきものが入り込み、増々ミステリアスな雰囲気に・・・!
さて、
知的な二人は、ホテルの部屋も別々で、仕事だけの関係かと思いきや・・・!?
それだけでもなかった? と、後でわかりますが。(微笑)
ドメニコ(エルランド・ヨセフソン)
古色蒼然とした湯治場・・・
湯気がもうもうの露天風呂に、男女が数人浸かり、なにやら世間話をしていますが
そこで話題に上ったのが、村の変わり者?ドメニコの話・・・
通りがかりで小耳にはさみ、アンドレイはとても興味をそそられます。
この世の終わりが来る と、家族を家に閉じ込め7年間も過ごした という・・・。
その後、彼の妻は子供たちを連れて余所(ジェノバ)へ行ってしまった とか。
ドメニコは雨漏りのする、廃墟のようなところに犬と二人で住んでいました。
そんなドメニコの家を訪ねたアンドレイは、彼に気に入られたのか
お酒を勧められたりして、じっくりと彼の話を聴くことが出来たのですけれども・・・。
壁を見ると、1+1=1 ?(・_・?) ハテ?
・・・そのわけはドメニコ自身の口から説明がっ w
掌に1滴 更にもう1滴垂らすとっ 水滴は大きな1滴になる・・・ という話。w
賢人か? 狂人か? ^^;
ドメニコは、自分がエゴイストだった という話の流れで、
アンドレイに小さなロウソクを渡し・・・!
これに火を灯して消さないように聖カテリーナの温泉を渡り切ってほしい と頼みます。
私の代わりに・・・ と。
・・・家族を救うのでは駄目だったんだ 世界を救わねば!
一端は、忘れたふりをしてロウソクを手放そうとするも
ドメニコの強い希望を汲んで、それを持ち帰るアンドレイでした。
エウジェニア(ドミツィアーナ・ジョルダーノ)
ホテルのアンドレイの部屋には、長い髪にドライヤーを当てているエウジェニアがっ
・・・ドメニコからロウソクを渡されて頼みごとをされた と話し始めますとっ
エウジェニアは見る間に怒りだし!?
アンドレイに、これまでの鬱憤を晴らすように!? 堰を切ったように!? 喋りまくります。
あなたは聖人・・・ 気味の悪いインテリよ
あたしは屈辱を感じているのよ!
深い関係にならなくて、かえって良かった!
大嫌い!
と、敗北感丸出しの彼女は・・・
続けて、ケリをつけて新しい男に向かう風なことを口にします。
まるで自分自身に言い聞かせるように・・・?
・・・もう気は済んだか
というアンドレイのロシア語のつぶやきも、可笑しみがあり良かったのですが ^^;
故国に妻や家族を残し、更に重い?持病持ち(心臓病)の彼にとっては、
色恋の入り込む隙間等は無かった というところでしょうか・・・? (微笑)
エウジェニア役の ドミツィアーナ・ジョルダーノ
お顔立ちも美形なら、ハイヒールの細っそり足首もCute♪
さらに豊満な肉体の持ち主だったとはっ!? ^q^ Nice♪
カンピドリオ広場
ローマの広場に立ち尽くし、彼方を見やる人々。
その視線の先には・・・
巨大な馬の彫像に乗り、この世の終わりについて?演説するドメニコの姿が・・・。
(この配置も綺麗ですが、何名かが移動する方向も計算し尽くされている気がしました!?)
ところでっ
ローマのエウジェニアからの電話で、ドメニコが 頼みごとをやり遂げたか 気にしている・・・
と言われて、アンドレイは、はたと思い出しっ!?
帰国する予定を2日遅らせるよう手配して、例の湯治場に向かうのでした。
バーニョ・ヴィニョーニ(ヴィニョーニ温泉)の干された池?(露天風呂?)には、
思ったより、強い風が吹いていました!?
・・・ドメニコに言われた通りに、ロウソクの火を消さぬよう! 細心の注意を払い・・・!
さて・・・???
これ ↑ 実はモノクロームかな? という感じのダークな色調だったのですが・・・
この時の寂寥感と申しましょうか、絶望感とも取れるような切なさ?
・・・引いていく画面を見つめながら、思わず涙が溢れました。
望郷の念?あるいは“郷愁” が、私めにも しみじみと伝わったのでしょうか? (・・*)ゞ
ともかく、出会えてよかった と強く思える作品でございました。
主演の俳優さんも感じが良くて♪ それも涙の一因かも? w
「耳に残るは君の歌声 (2000)」にも父の役でご出演とありまして・・・
ウチのジョニ・デ コレクションに入っていたので ^^; 早速見返してみたのですけれども
やはり ちょっと老けたことは否めませんが(爆) 良い感じは変わらずに! でしたっ(微笑)
パトリツィア・テレーノ(ゴルチャコフの妻)
監督・脚本 アンドレイ・タルコフスキー
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