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聖地には蜘蛛が巣を張る(HOLY SPIDER) 2022 [さ行の映画]

聖地には蜘蛛が巣を張る.jpg アリ・アッバシ監督3作目…  ( ´艸`)

それは、一線を越える

ジャンル サスペンス/ドラマ/犯罪
製作国 デンマーク/ドイツ/スウェーデン/フランス
時間  118分
映倫 R15+

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「ボーダー 二つの世界」のアリ・アッバシ監督がイランで実際に起きた
娼婦連続殺人事件を基に描く衝撃の社会派クライム・サスペンス。
事件を追う女性記者の目を通して、
女性への差別意識が根深く残るイラン社会の暗部を浮かび上がらせていく。
主演はザール・アミール=エブラヒミとメフディ・バジェスタニ。
 
イランの聖地マシュハドで娼婦ばかりを狙った連続殺人事件が発生する。
犯人は娼婦を汚らわしい存在として、街を浄化するために行っていると宣言する。
女性ジャーナリストのラヒミが取材を開始するが、
市民の中には公然と犯人を英雄視する者も少なくなかった。
そんな中、同じ犯行が続いているにも関わらず、
警察の動きが鈍いことに苛立ちを募らせていくラヒミだったが…。   (allcinema より)
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アリ・アッバシ監督は「マザーズ(2016)」「ボーダー 二つの世界(2018)」の2作品ありますが…
私めは、どちらもDVDでの鑑賞で…  映画館で観るのは本作が初めてでした。

(Aさまのお告げにより…!) 衝撃が半端ない…!(>_<) かな? と思って…!
覚悟の上で観て参りました。

ま、確かに終盤には件のシーンがありまして、軽くない衝撃ではありましたけれど…?
流れ的には… “よぉし!” と、膝を叩きたくなるような気分…? (大汗)

賛否は別れるかと思いますが…。 ネタバレ → だって絞首刑ですもん!?
同じようなシーンで、かつては嫌~な気分になった事が何度かありましたが、今回は大丈夫?(汗)
(否 最後の最後に何とも言えない? ダメ押し的な? まじか? と思えるようなものが付いてましたっ)

ところで、ヒロイン ラヒミを演ずるザール・アミール=エブラヒミですが・・・
本作で… カンヌ国際映画祭 2022年女優賞を受賞されたそうです。
(“Wikipedia” によれば、本作はイラン国内では不評も不評のようですけれど…!? (爆))

強い正義感と言うのか? ジャーナリスト魂と言うのか?
ともかく、勇気と信念を持って “真実” を探求する! という姿勢はカッコ良く、凛とした佇まい…!

“allcinema” には本作1本しか載っていませんでしたけれど…? キャリアも確かな女優さんのようです。
(元恋人発の?醜聞により仕事を干され、フランスに活路を見出した… 的な事情があった由…)

また、official website CASTには、アシスタントプロデューサー、キャスティング兼務 とありました。
彼女の “私的な思い” も反映されているかのような? 落ち着いた迫真の演技は素晴らしいものでした。

そして…!
最初から明かされる “犯人”  サイードを演ずるメフディ・バジェスタニも、ベテラン舞台俳優でした。
道理で巧いはずですね。( ´艸`) 小憎らしいと思うくらいのリアリティーを感じてしまったり…。

“連続殺人鬼” でない時には、敬虔な信者、良き隣人、良き父、良き夫、そして退役軍人 etc. 
カメラは彼を執拗に追いかけて、観る側の好奇心を満たしてくれました。(爆)

難しい役どころ だと思われますが、何だか “飄々と” という感じで演じられるので…?
“殺人現場” なのに…! 途中から私めは笑いが込み上げるのを禁じ得なかったりしました…!? (爆)

ある意味? 不思議な雰囲気の映画でしたね!?  一瞬? コメディなのか? なんて… (^_^ゝ
そんなところが アリ・アッバシ監督のセンスなのでしょうかね? “摩訶不思議” 嫌いじゃないです。(汗)

冒頭は、薄暗がりの? 質素な室内・・・  
身支度を整えてから、眠っている幼子にキスをして、そっと外出する女の姿が…。
「あなたが目覚める頃には戻っているからね」と。

女は、公衆トイレで、他の女たちと同じように濃い化粧を施し、細いヒールに履き替えて・・・
街角に立ち、客待ちをする。

最初の客は、女をクルマに乗せて自宅に連れて行き…! というスタイル…?

次の客は、クルマの中で…!  
これは、パトロールカーの巡回にビビった男が、中途半端だ!と難癖をつけて料金を値切る。

女は、大姐御然とした老婆?の所に寄ると… あと一つ取らなければ…! と言うのだが・・・
老婆は「気を付けて! 広場には近づくんじゃないよ」と。

しかし、女は “広場” に立ち、やって来た単車の後ろに乗ってしまう。
単車の男の左手には特徴のある “石” の指輪が…!

さて・・・?

ゴミ捨て場等に放置された “街娼の死体” の数が増えていく。

女性ジャーナリストのラヒミが取材にやって来て、ジャーナリスト仲間の?シャリフィと合流…!

ところで、余談ですが…?
ラヒミは到着直後、予約したホテルのフロントにて、慇懃無礼な態度に不快な思いをしたり…!?
また、ラヒミに気があると見える?警察関係者からも礼を欠くような扱いを受けたり…!?
・・・と、女であるが故の不条理?がさりげなく描かれたりして、気が滅入りました。(汗)

閑話休題?

シャリフィは、彼女を社内の自室に案内すると、録音した電話の “やり取り” を聴かせるのだった。
それは “連続殺人鬼” と思しき男から掛かって来たものだった。
“連続殺人鬼” は彼にのみ連絡してきて、捨てた死体の在り処 等を得々としゃべるのだという。

その辺りの事は…  “着想を得た” という断り書きも有る事ですし・・・
事の詳細?真偽の程?は測りかねます…  と言うか、面白く膨らませてあるのかもしれませぬ。

例えば、娼婦が客を取るのと比べるかのように…?
サイードが妻を抱くシーンを挿入…! 

これってどうなの? と言わんばかりの風情…? ( ´艸`) 意図的なのでしょうかね…?
そんな “揺さぶり” も嫌いじゃないですけれど。w

ここで、もはや得意技となった!?  “全文引用” をさせて頂こうと思います。(大汗)
official website 『アリ・アッバシ監督より Director's Note』

監督が作ろうとしたもの
 連続殺人犯の映画を作りたかったわけではない。私が作ろうと思ったのは、
 連続殺人犯も同然の社会についての映画だった。イラン社会に深く根付いている
 女性蔑視(ミソジニー)の風潮は、宗教や政治が理由というわけではなく、
 単純にそういう文化として存在している。
 女性蔑視は、国に限らず、人々の習慣の中で植え付けられる。
 イランには昔から、女性を憎むべき対象とする考えがあり、
 差別というかたちになって現れることも少なくない。
 それがありのままに描かれているのがハナイの物語だ。
 だからこそ、彼の物語を伝えるならば、賛成から反対意見まで、
 イラン社会には様々な意見が行き交っていることを示す必要があったのだ。」

こうハッキリ言って頂くと、“髪を覆う布” の問題の根っこの所が見えて来るようで、得心が行きます。

ラヒミは、“警察の動きが鈍い” なら、自分が囮となって…!
と、シャリフィ ひとりを味方に…!
果敢に!? “殺人鬼” に立ち向かって行くわけですけれど・・・

う~むむ (¬、¬; それにしても・・・
救われないのは、やはりラストに出て来る “サイードの家族” の在りよう?でしょうか。
根が深いな~ と…? 言葉を失う感じです…。

ネタバレ  ↓ 

ラヒミの機転で…! 逮捕となったサイードですが、裏では彼を助けようと “様々な力” が働く。
高をくくっていたサイードは… 有罪となり、刑執行の場に臨んでも、余裕綽々…?
彼が 「一応、手筈通りに… だな?」と思っていたところ、前述のように刑は執行されます。

一時は涙にくれる家族でしたが・・・ 
少なくない? “サイード支持” の人々は、益々 “彼の所業” を誉めそやすことに…!
その結果、サイードの長男は… 母の目の前で・・・
幼い妹を売春婦に見立てて!?  ( ̄ο ̄; その殺し方を、デモンストレーション!?
まるで父親が教えたかのように? 事細かく…。

ネタバレ 終わり  ↑

メフディ・バジェスタニ(サイード・ハナイ)
ザール・アミール=エブラヒミ(ラヒミ) ジャーナリスト
アラシュ・アシュティアニ(シャリフィ) ラヒミに協力する男性ジャーナリスト
フォルザン・ジャムシドネジャド(ファティメ)

脚本 アフシン・カムラン・バーラミ
監督・脚本・製作 アリ・アッバシ

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