パッション(PASSION) 1982 [は行の映画]
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「勝手に逃げろ/人生」で、70年代を通じてのビデオの実験から
久々に劇場用映画に帰ってきたゴダールの復帰第二弾。
ますます先鋭的になったその音と映像センスにまずは驚かされる。
ドルビー・ステレオとは彼のために発明されたものだ--という評も目にしたが、
効果音が衝撃的に画面をつんざいて、役者の台詞の言い淀みや咳払いまで
ドラマチックに作品に取り込んでしまう冒険心を讃えたい。
内容はと言えば、スイス小村でビデオ映画の撮影隊が、絵画作品の再現
--つまり、俳優たちは様々な扮装をし、あるいは裸でカメラの前で静止することを要求される--
の映像製作に取り組む様子を追うだけ。
監督は“光が見つからぬ”とNGを出し続け、現場は混乱を極め、結局、作品は完成しない。
そこに盛り込まれる様々な引用、絵画のオリジナルを捉えるショットや
様々なアフォリズムの字幕の挿入と構成は自在だが(少々混乱もしている)、
興味を引かれるのは、
その絵画の模倣が本当に完璧を期して作品自体の中でも映像化されようとしていること、
R・クタールの驚異的な撮影である。
前作に続いてユペールとドイツからH・シグラを画材として迎えている。
もちろん、彼女らが奔放(のように見せかけて)に喋っていることも大変重要であるわけだが…。
2002年、“無修正版”としてリバイバル上映された。 (allcinema より)
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「勝手にしやがれ (1959)」や「気狂いピエロ (1965)」でないと言うところが?
私らしいな~ とは思いますが!? (苦笑) ようやく拝見!
難解過ぎて理解不可能で終わるのかな? と危惧した割には
スーッと入っていけました。
不思議! w
あちらの ↑ 解説にも有るとおり、“音” で驚かされることがしばしばありまして・・・!?
しかも、耳障りな・・・(苦笑)
イザベル・ユペールの吹くハーモニカというのが曲者でしたね~ w
あとは、挿入曲が合っていて良いな と思うときも有れば
うるさいな~ と感じるときもアリ!?
そんなことで、
目から耳から刺激を受けて!?
どんな結末へと導かれるのか? 最後まで惹き付けられ通しでした!
まずは、DVD特典の “イントロダクション” からの引用ですが・・・(汗)
ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」からインスピレーションを得て
労働組合を作ろうとした女性たちを描く・・・
と、最初の発表にあったそうですけれども
そう言えば、女性たちは皆個性的な雰囲気で、魅力的でしたね!?
特に、ヌードを披露する女性たちの美しさは格別でした。
さて、『PASSION(情熱)』 と題した撮影中の映画は・・・
一幅の絵画を観るような・・・ と言いたいところなのですが
いずれも制作途上ということで、部分的には堪能できたのですけれども
全体像を観たいという希望は叶えられませんでした。 それが残念!
複数の絵画を再現していたはずなのに・・・!?
(撮影現場の雰囲気はとてもエキサイティングで楽しめましたけれどもね w)
・・・ヌードの女性ばかりではございませぬ!(汗)
モデルひとりひとりの面構えからして、本当にソレらしくて・・・!
それぞれに誂えた古風な衣装を持ってしても、贅沢なものだなぁ と思ったことでした。
拘りの?監督ジェルジーが言います。
光がダメだ
この光には思想がない
・・・ う~むむむ (¬、¬; 妥協は許さぬ ということか・・・
また、現実的にはやはり、イザベル・ユペールの存在感が光っていましたね~
少し吃音のある低い声で話す彼女は、ショートカットと相俟って、まるで少年の風情!?
工場で働き、労働組合の集会に出たりしますが・・・
・・・愛と労働は似ている と言う持論があるようです!?
この点で、監督と意見が一致しており、後々結ばれるようになるのですが・・・!?
自由奔放な感じと気の強さが、彼女をより一層魅力的にしているようでしたね。
(この時、まだ ある種の“怖さ” は感じられぬようで・・・!? (爆))
特典映像として、ゴダール監督ご出演の「映画 『パッション』 のためのシナリオ」 という
ビデオ作品が付いていたので、観てみたのですけれども・・・(結構長い・・・w)
その時は なるほどなぁ と興味深く見入ってしまったのですが、
うーむむ 実際にはしかと理解できたわけではなかったような・・・!? (爆)
しかし、“パッション” は「受難」と捉える というような話は印象に残りましたけど。
まあ、理解の方はそんな感じでも?(汗) 感覚的には好みの作品だと思いました。
余談ですが
イエジー・ラジヴィオヴィッチと言う俳優さんは「Mの物語 (2003)」の時計技師なのですね~
凄く若いのでわかりませんでしたが、思いがけず青年期の作品を見られて良かったです。
撮影 ラウール・クタール
監督・脚本 ジャン=リュック・ゴダール
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