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オートクチュール(HAUTE COUTURE) 2021 [あ行の映画]

オートクチュール.jpg ナタリー・バイ主演作… ( ´艸`)

パリ、モンテーニュ通り。美が生まれる場所

ジャンル ドラマ
製作国 フランス
時間  100分

HAUTE COUTURE → ハイファッション(PC翻訳)

“オートクチュール部門専属クチュリエ―ルが衣装監修” だそうです。
ジュスティーヌ・ヴィヴィアン (ディオール衣装アドバイザー ディオール1級クチュリエ―ル)

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一流メゾンで活躍する引退目前のお針子と、彼女が後継者として見出した移民二世の不良少女を
主人公に、2人の葛藤と絆を描いたドラマ。
主演はフランスを代表するベテラン女優のナタリー・バイと、「パピチャ 未来へのランウェイ」
「フレンチ・ディスパッチ」などで注目を集めるフランス期待の新星リナ・クードリ。
監督は本作が長編2作目のシルヴィ・オハヨン。            (allcinema より)
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これは映画館で観ようか?と思っていて叶わなかった作品ですけれど・・・
DVDで良かったかも…?(汗)
というのも、どうも琴線に触れてしまったみたいで? 久々のボロ泣き状態… (:_;)
いやー 心地良い “涙活” が出来ました。(笑)

ナタリー・バイはベテランお針子の役で、もちろん主役なのですが…!
彼女が新人の育成を試みる “移民二世” の利発な少女ジャド役のリナ・クードリとのダブル主演…。

最初… 二人は水と油のよう…!? およそ接点は見つからないのでは?という印象の私でした。(汗)

ところが… 意外な共通点も見つかったりして…?  いつしか共感できる間柄に…!?
歳の差はあっても “友人” という表現をするところ等は、とても好ましい事と思われました。
(親友スアドとの電話では… ジャドはエステルを “ババア” 呼ばわりなのですけれど…?(爆))

登場人物たちが、正直に “本音” をぶつけ合う会話のシーンは何度となく見せられるのですが…!?
いずれも “至極ごもっとも” 的なことで…? 私めの心に届くものでした…!? ( ´艸`)
罵詈雑言? 差別用語?等々 感情に任せてビシバシ発せられても、不快にはならないという不思議!?
(もちろん不快感を持たれる方は、いらっしゃるかも…? な、酷さなのでしたが…!? (苦笑))

リナ・クードリが若さを武器に?活きの良い所を魅せてくれましたが・・・
ナタリー・バイも、思わず手が出てしまったりしますが… “ベテラン” の底力と瞬発力?で応戦…!w

しかしながら、ジャドの母ミュミュの病気と老いとの “気の毒な状況” とも相まって!?
市井の人々の “在り様” を、さりげなくも…? 優しく、活写していたように思われました。

ところで…?
始まって早々に、メゾンにおける “吉と不吉” が出て来て、とても興味深く観たのですけれども…!

まずは、「吉」
エステル(ナタリー・バイ)がマチ針で、左手薬指を突いてしまい…! 出血騒ぎとなりましたが・・・
布地を汚したのにも拘らず、助手のカトリーヌは「結婚の予兆よ」と、事も無げに言う♪

そして、「不吉」
見習いとなったジャドが、サポートに付いて居た時に、うっかりハサミを床に落としてしまう!
一瞬 空気が凍り付き!? ジャドは台所に連れて行かれ…  塩で両手を清められることに…。

撮影は、ディオールの監修の元? それらしき雰囲気や、繊細な描写等々 素晴らしいと思われましたが
こんなエピソードもリアルに感じられ… 知ることが出来て良かった、得したな と思ったり…? (笑)

オープニング・クレジットは、目覚まし時計の音から・・・
時計を止めた老婦人は… ついでにチョコレート菓子?に手を伸ばし、寝たまま口に放り込む…!
朝食のテーブルでは、カップに大き目な角砂糖をポンポンポンと放り込み…!?
食後は?煙草を一服!
出勤の支度を終えたエステル(ナタリー・バイ)は、温室に美しく咲き乱れるバラに向って言葉を掛ける。
「“ギロチン” 今朝はひどい顔ね 行って来るわ いい子で居て… 美しくね」
それから地下鉄でパリへ向かう。

一方、サン=ドニ(St-Denis)の大型団地を出て “地下鉄” に飛び乗った仲良しのジャドとスアド。
眠りこけている若い男から、スーッとギターを引き抜いて…! そのまま駅のホームへ…!

ジャド(リナ・クードリ)は、地下鉄の通路の片隅で手慣れた風にギターを弾き・・・
寂し気なメロディに生活感あふれるような歌詞を載せて…  素人ながら味のある歌声を披露する。
足を止めて聴き入る人が何人か…?

すると、端に居たエステルのバッグをひったくって!? 走り去る黒い影!  ( ̄ο ̄;
ジャドは咄嗟に、エステルにギターを渡し…「待ってて! 捕まえるから…」と、駆け出すのだった。

ジャドとスアド(スーメ・ボクーム)は・・・
地下鉄の電車に駆け込んでからも、“緊張” と “興奮” とで?だんまりに。

・・・教会の雰囲気に浸り、心が和む?ジャド…。

マリア像が見下ろす中…?
ジャドは、スアドから受け取ったバッグの中身の点検をし始める…!?
そして、綺麗な金のペンダントを見つけると、スアドにあげよう! と思い付くのだが…!?

その後、行きつけの店で、それをスアドに渡した時・・・
周りの友だち連中が寄って来て… 「“ユダヤの星” だから持ち主に返せ!」と口々に言うのだった。
(人種や宗教… LGBTQ 等 複雑な混線状態?は、仏国のリアルが一気に押し寄せて来る感じ…!? (爆))

・・・ジャドとスアドは、巨大な団地の一角に “上下” で暮らしていた。

ジャドが帰宅すると、口が達者な?“白人” の母は「空腹!」「首が痛い…」等々すぐに甘えてくる。

そんな母のミュミュ(クロチルド・クロ)に、エステルのバッグにあった口紅を差し出すのだが・・・
母は間髪を入れず「盗んだね…?」と。 (ミュミュの信心深さは並みではない…?(爆))

・・・ディオールのメゾンでは…!?

エステルに付き合って? “No2” のカトリーヌ(パスカル・アルビロ)が居残りを…!
「後任だからって私みたいに残業しないで…!」とエステル。

カトリーヌは・・・
娘たちは元夫の所に行ってしまって “私は一人” と? 言い訳のような事を言ってから…

「何故引退させられるの?」と単刀直入に…!
エステルは冗談めかして…?「生地にヨダレたらしたり 縫い目か乱れるからよ」と返す。

「やっと自分の時間が持てる… 引退後は人生を楽しまなくちゃ!」
と、カトリーヌはエステルの気を引き立たせるよう?何気なく口にするのだが・・・

「これが私の人生よ… 他に何も知らない」
と、エステルは半ば憮然としたように?言う。

そして、1枚のデザイン画を手に取り、感極まったように…!?
「このドレス… よく知っている」「私にとってこれは… 亡霊のようなもの」と謎めいた言葉を…。
(次のコレクションが終わったら、引退! の、エステルは心中穏やか… とはいかない…!?)

そんなある日…
エステルが働く “モンテーニュ通りの美が生まれる場所” を徘徊するジャドの姿が…!?

昼間に覗き込んだ時… 守衛のいかつい男に見咎められたジャドは、夜になってから再び訪れてみる。
すると、偶然退社時間で外に出て来たエステルに「マドモアゼル!」と呼び止められる…!?

さて・・・?

この後の展開が、上手いのか? 強引過ぎるのか?
・・・は、見る人の感性に委ねられる所でしょうか?(汗)

ともかく、エステルに無事に?バッグを返したジャドは、ひょんな事から一緒に食事をすることに…。
エステルは、ジャドの手を取り… お針子としての “素質” を確信…?(微笑) 

しかし、自我の強めな二人は何かとぶつかる事もあったりして・・・
周りの温かいフォローは不可欠でした…!?
(ジャドには、カトリーヌやモデルのグロリア… 恋人のアベルや、その他諸々の “お力添え” が…!)

「明日は8時に来て!」
というエステルの一言から、ジャドの新たな人生が拓けていくことになりました。

official website Story より 全文拝借です。(汗)
「ディオールのオートクチュール部門のアトリエ責任者であるエステルは、
 次のコレクションを終えたら退職する。
 準備に追われていたある朝、地下鉄で若い娘にハンドバッグをひったくられてしまう。
 犯人は郊外の団地から遠征してきたジャド。警察に突き出してもよかった。
 しかし、滑らかに動く指にドレスを縫い上げる才能を直感したエステルは、
 ジャドを見習いとしてアトリエに迎え入れる。
 時に反発しながらも、時に母娘のように、そして親友のように
 美の真髄を追い求め濃密な時間を過ごす二人だったが、ある朝エステルが倒れてしまう・・・。
 最後のショーは一週間後に迫っていた――。」

華やかなファッション業界における “お針子” という存在に、涙することになろうとはっ  orz
これは、糖尿病を患いながらも仕事に身を捧げるエステルの “生き様” に感動を覚えた…  結果です。 

って、そんな言い方では、ごく在り来たりな筋書きに聞こえてしまうかも?と危惧するわけですが…!?
ネタバレは無粋と思われますので、肝心な部分は敢てベールに包まれたままにしておこうかと思います。

ところで…
娘と音信不通状態 という事もエステルの心痛のタネのようでしたが・・・(原因は終盤で明かされます)
エステルがジャドを受け入れた事で、人脈が大きく広がった! …のは何よりの事と思われました。

ちょっと違うかも知れませぬが? (汗) なんだか大昔に観た…!?
エステサロン/ヴィーナス・ビューティ(1999)」の雰囲気に似たものを感じたりして…? (^_^ゝ

でも、本作の監督さん シルヴィ・オハヨンは・・・
“ユダヤ系チュニジア人として幼少期をパリ郊外ラ・クルヌーヴの大規模団地
 「cité des 4000」で過ごす。” (official website Staff & Cast より抜粋)

ということで…?
只のお洒落な映画にすることなく…?
仏国の “現状” を伝える、特異で Niceな “不思議映画” となっていた… と思われまする。

最後に一つ 私めのお気に入りのシーンを…!

仕事にも慣れ、スタッフの一員として “居場所” を得た感の?ジャドに、エステルからプレゼント…!
それは、カトリーヌにお願いして… ジャドのための “首掛けポシェット” にイニシャルを刺繍したもので
言わば、お針子用 “七つ道具” 入れで…!

エステルからジャドに手渡すも… ジャドは 呆気に取られたよう…!? 「これ誰に?」

「おバカさんね」と言ったエステルはカトリーヌに「バカなの?」
「ンモ~ォ 照れているんですよ!」とカトリーヌ… ( ´艸`) 

ついでにもう一つ…?
ちょっとした齟齬から、ジャドと大口喧嘩になってしまったエステルは、“クビ” を言い渡す…!?
スタッフ一同は「厳し過ぎる」と、空気も変わってしまい…?
冷静になったエステルは、改めてジャドに会いにアパートを訪ねますが・・・
エレベーターを待つ間に、側のソファの黒人青年の喫う煙草を、“手招き” で所望して…!?
渡された煙草を、ホッとしたような風情で2服ほどして返すエステルでしたっ (´-`).。oO

ネタバレついでに…?( ´艸`)
ラストは、すべて丸く収まってから迎える “新年” の模様…!?
エステルもカトリーヌも、ジャドに招かれて “団地” へ集合…! というところですが・・・

住人がベランダに出て賑やかに盛り上がる様子を見上げながら… エステルは…
「大勢の人たちが… 美しいわ… 夢のよう♪」と眩しそうに…。


エンディング・クレジット の後にこんな文字が…!

「ジャドに (Pour Jade.)」
そして
「すべての心優しき女性たちに」

チャプター(参考までに)
1.交差する人生
2.お針子
3.繊細な手
4.ミス・ディオール
5.真の価値
6.“プレ・コレ”
7.針を持つ手
8.問題が多すぎる
9.ドレスを仕上げて
10.最後のショー

ナタリー・バイ(エステル) ディオールのオートクチュール部門のアトリエ責任者
             お針子を引退間近 糖尿病? 娘とは音信不通?
リナ・クードリ(ジャド) 鬱病で寝込む母ミュミュと団地で二人暮らしの23歳  パパはアラブ人?
パスカル・アルビロ(カトリーヌ) エステルの後任 サン=ドニ出身と告白しジャドに安心感を…!
クロード・ペロン(アンドレ) 心が病んでいる? ベテランのお針子さん No3 ?
スーメ・ボクーム(スアド) ジャドの親友 アパートの部屋もジャドの階下 料理に目覚める?
アダム・ベッサ(ABDEL) メゾンの男性スタッフ ジャドの恋人? アラブ系フランス人
            本名は “アブデル” だが仕事上は “アベル” と名乗る
クロチルド・クロ(ミュミュ MUMU) ジャドのママ 鬱病? 信心深い
ロマン・ブロー ROMAIN BRAU(セフォラ) “女装の人” ジャドの友達 彼氏とカフェを…?
ファリダ・オウチャニ FARIDA OUCHANI(マヌーヴィア) スアドの母 ミュミュの面倒を見ている
アレクサンドリーナ・トゥルカン ALEXANDRINA TURCAN(グロリア) ディオールのモデル

監督・脚本 シルヴィ・オハヨン

加筆しました。(2023-9-27)
エステルの傑作な台詞でもう一つ載せておきたいのがありました。でも伏字で…!
 ↓ 
出来上がったドレスを試着する上顧客の褒め言葉に応えて…
「指先は軌跡でも クソな人生よ」
(エステルの為人を見事に体現しているナタリー・バイがカッコ良く見えました w)
 ↑ 

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