「郵便配達夫はいつも二度ベルを鳴らす」 ジェイムズ・M・ケイン [本]
何度も映画化されている作品ですので、魅力的なストーリーであることには間違いありませぬ!
しかしながら、映画化された作品により、内容もそれぞれ異なったりしまして・・・(当たり前?)
それなら、やはり原作を読まねばっ と、アマゾンさんで見つけて、読んでみました。(笑)
ま、ストーリーもさることながら ですが
「おれは・・・」「あいつが・・・」という一人称の口語体の文章は、犯罪小説に相応しく?
主人公の荒んだ心象風景がよく現されているように思いました。
(荒んだ・・・ と言っても、けして否定するものではございませぬ。野性味と言うのか?)
まず、なにより読み易いし、取っつきやすかったですね。
キレのよい展開は臨場感があり・・・
早い内から主人公の人間性に愛着を覚えたりして・・・ 感情移入し易かったです。
犯罪者に感情移入?というのもおかしなものですが・・・(苦笑)
台詞の砕けた調子が効いていましたね。(「訳」がいいのでしょうか?)
と言っても、原書を知るわけでもなく・・ (苦笑) 偉そうなことは言えませぬが、
作者の言うところの “方言” かな? と思われました。
映画化の時に、その表現に苦慮したという? “性” の方ですが・・・
やはり プチプチプチっ と釦が弾け飛ぶ音まで聞こえてきそうな?
一種の激しさは確かにありましたね~(ニヤリ)
でも、案外淡泊と申しますか・・・?
その先は読者のイマジネーションにゆだねる・・・的な、さりげなさ と言ったらいいのか?
突っ放すところが、これまた渋くて格好いいところでしたね。(笑)
面白いのは、コーラを有りふれた女として描いているところですかね。
肢体は別として?(笑) 取り立てて美人ではないと書かれています。
彼女自身が、黒髪である事を気にして・・・ 白人なのだと強調するところが興味深いです。
国境に近いということの現れでしょうか?
ともかく、その方がリアリティがあるように思えてしまいます?
さて、一番の圧巻は? と言えば、やはり裁判がらみのところでしょうか。
映画ではサクサクと進んでしまうので、ちょっと理解し難いところでもあったのですが。
本では、検事と弁護士の性格描写や心理状態の推移や、駆け引きの模様など
濃厚で、熱の籠もった、まさに読み応えのある箇所でございましたね。
これは意外な感じがしました?(苦笑)
ところで・・・
よく分からないのが「郵便配達夫はいつも二度ベルを鳴らす」 という題名です・・・。
映画を見たら、その意味が分かるのかな? と、最初は興味本位での鑑賞でしたが。
1981年製作、ジャック・ニコルソン主演の作品では何も触れてなかったような・・・?
1946年製作の作品では、ジョン・ガーフィールドがラストで何やら言っていたのですが
う~ん それは分かるけど・・・でも何故? という疑問が残ってしまったのでした。(苦笑)
本の結末は・・・
コーラに対する恋慕の情が溢れていて、切ない程でしたね。
・・・しかし、“郵便配達夫” 云々は出ては来ませんでした。
さて、さて・・・
読み終わると、巻末には作者の[エッセイ]というものがありました。
「私の小説作法」 という題名です。
作者のジェイムズ・M・ケインという人は、未だに顔も知らないのですけれども
この[エッセイ]を読んだら、作家さん自身にとても興味が湧いてしまいました。
意外と言っては失礼ですが、なかなか繊細な思慮深い方という印象を受けました。
機会(ご縁?)が有れば他の作品も読んでみたい と思いました。
(閑話休題)
その中に、脚本家のヴィンセント・ローレンスについて書かれた箇所がありました。
(本書の巻頭には 「ヴィンセント・ローレンスに捧ぐ」 とありましたっけ!)
ヴィンセント・ローレンスが最初の戯曲をプロデューサーに郵送し、
その結果を気にして、落ち着かない気分で待っている様子を、ケインに語るのですが・・・
途中でいきなり 「本のタイトルが決まった!」 と、ケインが口を挟む! というものです。
ウチに来る郵便夫はいつもベルを二度鳴らすから、それとわかる。
・・・というローレンスの言葉に触発されて?
本書の主人公のフランクとコーラにも、2度ずつニック殺しのチャンスが!
・・・というのを懸けた? ・・・というところでしょうか。
これは1946年の映画の中でフランクが言っていたことと同じ内容なのですが・・・
う~むむ 何故それが “気の利いたタイトル” と思われたのか?
未だに理解に苦しむところです。(爆) ん? それが狙いだったりする? (-_-?
ともあれ、 「郵便配達夫はいつも二度ベルを鳴らす」 ・・・やはり読んでみるものですね。
おかげで、もう一本、同名の映画を鑑賞したような気分? と言ったところでしょうか!(笑)
他に、こんなのもあります。
時間が許せば読み比べてみるのも一興かなと思いまする。
郵便配達は二度ベルを鳴らす (新潮文庫) 田中 西二郎 訳
郵便配達は二度ベルを鳴らす (集英社文庫 赤 35-A) 中田 耕治 訳
qoo2qoo さん (^_^)ノ nice!どうもありがとうございます。
by Labyrinth (2009-06-12 01:07)
あんれに さん (^_^)ノ
takemovies さん (^_^)ノ
nice!どうもありがとうございます。
by Labyrinth (2009-06-12 11:13)
nomi さん (^_^)ノ
abika さん (^_^)ノ
xml_xsl さん (^_^)ノ
いつも nice!を、ありがとうございます。
abika さん 1700nice!でした?(^_-)b いつも、ありがとうございます!
お愛想ナシで申し訳ありませ~ん。f^_^;
by Labyrinth (2009-06-13 00:08)
これ見ました。
面白かったです。
by yuki999 (2009-06-13 11:36)
shin さん (^_^)ノ nice!どうもありがとうございます。
by Labyrinth (2009-06-13 23:33)
yuki999 さん (^_^)ノ こんばんは。
単純なようで居て、見せ場が沢山ある?って感じでしょうか?
はまってしまうと、他のはどんな表現なのかしら? と、興味は尽きないです~(笑)
nice!も、どうもありがとうございます。
by Labyrinth (2009-06-13 23:41)
ミノッチョ さん (^_^)ノ nice!どうもありがとうございます。
by Labyrinth (2009-06-13 23:42)