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過去のない男( MIES VAILLA MENNEISYYTTA/ L' HOMME SANS PASSE /THE MAN WITHOUT A PAST)  2002 [か行の映画]

過去のない男.jpg アキ・カウリスマキ監督作品 ( ´艸`)

人生は前にしか進まない

ジャンル ドラマ/ロマンス/コメディ
製作国 フィンランド/ドイツ/フランス
時間  97分

MIES VAILLA MENNEISYYTTA(フィンランド語) → A MAN WITHOUT A PAST ?(英語)
L' HOMME SANS PASSE(フランス語) →  パスのない男 (正)PASSE → passé 過去
THE MAN WITHOUT A PAST(英語) → 過去のない男

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「マッチ工場の少女」「浮き雲」のアキ・カウリスマキ監督が、
過去のない男を主人公に描く再生と希望のドラマ。
記憶を失った男が、周囲のユニークな人々との関わりを通して前向きに人生を歩んでいく姿を、
現代社会への皮肉を効かせながらユーモアと哀愁を込めてオフビートに綴る。
主演はマルック・ペルトラ。
共演にカウリスマキ作品の常連カティ・オウティネン。
2002年のカンヌ国際映画祭でグランプリと主演女優賞をダブル受賞。   (allcinema より)
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枯れ葉(2023)」で甚く心惹かれたアキ・カウリスマキ監督でしたが・・・
これはどうかな? と楽しみに拝見です…。(^_^ゝ

冒頭は… 夜行列車に揺られながら、紙巻き煙草?を作る “男” ・・・

ヘルシンキに到着した男(マルック・ペルトラ)は、公園のベンチで夜明けを待つが…?
いつの間にか眠りに落ちた所を、3人の暴漢に襲われる。(持ち物を荒らされ金品を奪われる)

男は昏睡状態で病院に運ばれて… その後、死亡を宣告されるものの…?
医師が去った後… 突然!? 奇跡的に蘇生する!

“意識朦朧” 状態のまま、どうにか着るものを身に着けた男は…?
フラフラと町中を過ぎり…  水辺に辿り着くと、倒れてしまう。(浮浪者が男のブーツを盗んでいく…)

男を見つけたのは、二人の小さな男の子の兄弟だった。
港の… 廃墟となったコンテナに住む、貧しいニーミネン 一家は・・・
男を引き取って、彼らなりの? 献身的な介抱をするのだった…。

男は記憶を失っており、覚えているのは “汽車を降りたら襲われた” と言う事だけだったが…?
日々順調に回復し・・・ 
港湾警備員?のアンティラから “空きが出た” というコンテナを借りて、一人で暮らし始める。
(空きが出たワケは、住人が凍死…! という… (¬、¬; なんともシビアな事柄をさりげなく…)

電気工事に来た青年は、男が拾ったジュークボックスを、有り合わせの部品で直してくれたりする!?

男は空き地を耕し、日々の糧となるよう?ジャガイモ等を育てたりする “マメさ” があった。

ある日、空腹のまま小さなレストランに入り、「お湯はいくら?」と尋ねた男に、「お湯は只」と。
すると、マグカップにお湯を注いだ男は、マッチ箱から使用済みのティーバッグを取り出し紅茶に…?
それを見ていた店主と妻は…「残り物で作ったから只よ」と、立派な料理を振る舞ってくれるのだった。

そんな頃、何かと世話になっているニーミネンに誘われて、男は救世軍の “スープの配給” を体験する。
それは “金曜日” で…  男は、救世軍の制服姿のイルマ(カティ・オウティネン)に一目惚れしてしまう。

男が、名前を知りたくて… 仕事中の彼女に、やんわりと? 食い下がるのだが・・・
イルマは毅然とした態度で…? “住所” が書かれたカードを渡すのだった。

「身なりをちゃんとしなさい」ということなのだが…?
男が、その住所に行ってみると、そこは “救世軍のフリーマーケット” で… イルマが働いていた。
イルマは、男に合うようにコーディネートしてくれて、「代金は稼いでからでいいの…」と。

身形は整ったが…  自分の名もわからない男は、職業紹介所等では職を得られず…。

そこでイルマは、上司の女性マネージャー?(アンニッキ・タハティ)に相談して・・・
男を “救世軍” に入れてもらう事に。
(女性マネージャーは、契約書のサインは男の “拇印” で済ませてくれた…)

こうして仕事を得た男は、イルマとの仲も順調に…!?( ´艸`)

また、音楽好きな男は…  地下で練習する “救世軍バンド” の覇気の無さ?を指摘し・・・
彼らを自宅に呼んで、ジュークボックスから流れるリズミカルな音楽を聞かせ、方向転換を勧める…。

男が救世軍の “女性マネージャー” に進言すると…?
なんと彼女は「昔 歌っていたのよ」と、乗り気になるのだった!?
“女性マネージャー” は “救世軍バンド” と舞台に上がり、リードヴォーカルとして美声?を披露する。
(これまではボンヤリと聴くだけだった人々は自然とカップルとなり、静かに踊り始める…)

そんなある日…
造船所の近くで溶接工の仕事ぶりを目にした男は、その “火花” から?ハタと思い出す!?

「自分は溶接工だった…?」

その事務所を訪ねると、仕事は有る ということで…!
男は、給与を振り込むための銀行口座を開くように言われる。

そこで男は、指定された銀行に出向いて手続きを頼むのだが・・・
やはり名前がない事が支障となる…!?

その時…!
男と、女性行員しかいない閑散とした銀行に、ライフル様のものを持った “強盗?” が入って来て…!
「金を下ろしたい」と言い出した!?

不思議な事を言う “強盗” は、人品卑しからぬ風情だったのだが…?
女性行員から “希望の金額” を渡されると、二人を金庫室に押し込めて、立ち去ったようだった…?

さて・・・?

この、ちゃんとした身なり?の “銀行強盗” の後日談も、とても良い話で泣かせるのですけれど…。

警察側は、記憶喪失という “男” の扱いに難儀して居たところ・・・
“救世軍” から “救いの手(弁護士)” が差し伸べられ…  “男” は事なきを得ることに…?
ところが、その時の新聞記事に “男の顔” が載ってしまい… 男を知る人物から連絡が入る…!

という本筋の方も、これまた良い話なので詳しく記しておきたい気もしますが、止めておきます。(汗)

男とイルマは… “大人の恋” が成就するかにみえましたが・・・
男が “過去” と向き合うために… 事実上、立消えとなってしまいます。
初恋だった! というイルマにとっては辛過ぎる選択…。

そんな中… 二人の間に付かず離れず居てくれたのが “ハンニバル” と言う名のワンコでした。

元々は、巨漢の港湾警備員アンティラが、♂犬だと思って購入し、飼い始めたのですが・・・
懐かず? 言う事を聞かず…?( ´艸`)  (だったかは知る由もありませぬが…? w)

アンティラが出張で家を空ける時に “男” の元に “押し付けた” のが、ご縁の始まり…!

本当に? “食人種” と言う名が示すような凶暴なワンコの一面が有るのかどうか? ?(・_・?) ハテ?
ハンニバルは、最初から “男” に従順な感じで? むしろ懐いているように見えました…。(微笑)

家賃を払うついでに、ワンコを連れて行ったのですが・・・
「♀犬だ」と “男” が指摘すると、アンティラの飼う気が失せた? (ハンニバルも戻る気ナシ…!)

その後は、イルマにも慣れて・・・  という、癒しの空間造りの “名脇役” でしたね。

ラストは…
自分が何者か分かった “男” とイルマが、連れ立って歩きながら遠ざかり、暗闇に消える・・・
手前を、貨物列車がガタゴトと… というものでした。(ハンニバルはお留守番か? ( ´艸`))

また… 日本語の歌が流れて来て、吃驚なのでしたが・・・

「ハワイの夜」クレイジーケンバンド
「Motto Wasabi」 小野瀬雅生ショウ

が歌われたようです。
(音楽に疎い私めは、曲も知らず、歌手も思い当たらず… という塩梅でしたけれど… w)

独特の “間” とか、台詞の少なさ? とか、ようやくアキ・カウリスマキ的世界に慣れて来た私です…?

チャプター(参考までに)
1.オープニング
2.過去を失った男
3.金曜のディナー
4.いつもの生活
5.寛ぎの住処
6.職探し
7.人々のこころ
8.初めての恋
9.音楽の捧げもの
10.名前がないと・・・
11.社長の遺志
12.君の名は
13.見知らぬ真実
14.家に帰る
15.クレジット

マルック・ペルトラ(過去のない男) 記憶喪失 本名は… ヤアッコ・アンテロ・ルヤネン
カティ・オウティネン(イルマ) 救世軍に所属
ユハニ・ニユミラ or ユハニ・ニエメラ Juhani Niemelä (ニーミネン) 週2の夜間警備員
カイヤ・パカリネン Kaija Pakarinen (カイザ・ニーミネン) ニーミネンの妻 男の子二人
サカリ・クオスマネン(アンティラ) 巨漢の港湾警備員? コンテナハウスの家主 犬の飼い主
アンニッキ・タハティ(救世軍マネージャー & バンド ヴォーカリスト) 『思い出のモンレポ公園』
マルコ・ハーヴィスト&ポウタハウカ(救世軍バンド)
エスコ・ニッカリ(銀行強盗) 土木工事会社経営
エリナ・サロ(造船所の事務員?溶接会社マネージャー?)

タハティ(ハンニバル “食人種” の意味) タハティはフィンランド語で「星」だそう。
    本作でパルム・ドッグ賞を受賞♪ 1995年12月5日生まれの生粋の “女優犬” で…!
    祖母犬(役名ボードレール)も、母犬ピートゥも優秀な? “女優犬” だそうです。

監督・脚本・製作 アキ・カウリスマキ

お借りしたDVDには、主演女優カティ・オウティネン(イルマ)のインタビューとか…!
キャストについても、詳しく載っていて有難い限りでした。

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主役を演じたマルック・ペルトラはお初かと思っていましたが…?
なんと「かもめ食堂(2005)」にご出演でした。(^_^ゝ
                                                         (追記しました 2024-4-1)
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